2.回転扉

このところ回転扉の事故に関してのマスメディアの報道が多くなっています。それは六本木ヒルズという最近オープンしたでかいビル群での子供の死亡事故がきっかけであったようです。この事故がきっかけで調べてみると、同じような事故で怪我をすることが実に多いということがやっとわかったというのですね。奇怪な話だと思いました。


そもそも僕は回転扉というやつが大嫌いです。昨年のことですが、仕事で出かけた汐留で新しく出来たビルに入ろうとしたら、こいつが通路をふさいでいました。正確にはゆっくりと回転しているのですが、人がやっと入れる程度の隙間にしか見えないスリットが左から右の向きに移動している。回転しているということはわかるのですが、隙間が動いているとしか見えないのです。カメラのフォーカルプレーンシャッターの布製横走り式のようにも見えます。これは僕にとっては大勢でやる縄跳びの縄のように入るタイミングをうまく計って入ることを要求している感じがするのです。子供の頃から、独りでやる縄跳びはなんとか出来たのですが、みんなでやる集団縄跳びというのは苦手でした。小学校入学前に三輪車で転んで脚を痛めた為です。成長期にギプスで固定された為か左右の太さも長さも違うんです。入るタイミングと脚の動きが連動しなくて、いつも僕だけが脚に縄がひっかかっていました。さらに、走りながら一度だけぴょんと飛んで抜けるという離れ業を平然とやってのけるなど、僕にとっては曲芸のようにしか思えませんでした。

まあ、縄跳び遊びならまだいいでしょう。事は公共的な通路での通行の問題であります。どういうわけで通行人にそのような能力を求めるのでしょうか。誰でも縄跳びぐらいできるものだと決め付けているのではないでしょうか。しかも、その回転扉の中にはいると前後の壁が動くのでそれにあわせて歩くことになります。あるとき、あまりにもゆっくりと歩いてしまったので、センサーが働いたのでしょう。回転が停止して僕はその中に閉じ込められてしまいました。不正に進入したかのように入り口で捕らわれてしまったのです。何か悪いことでもしたのだろうか、と一瞬反省してしまったではないですか。

また、いかにもこのビルはそこらの安物ビルとは格が違うのだぞ、というような見栄を感じるのもいやらしい。そんな迷惑なものに金をかけてるなんて、成金趣味もはなただしいではないですか。そのようにせっかく金をかけて設置はしたものの、あまりの事故の多さに、運転を停止しているという設備がとても多いという調査報道もありました。そのような機構が我々の歩行には向いていないということが証明されているようなものです。

これを機会に、回転扉禁止条例という行政からの制約が出てきても仕方の無いような雰囲気ですが、その前に自主的に回転扉をみな取り壊してしまった方がいいでしょう。

2004年4月22日記