二輪講座

その秘密は?これを読めばうんちくが語れるかもよ!

安全運転読本

約26年程モーターサイクルに乗ってまして、体得した安全運転術をここに紹介したいと思います。(1997/12/23記)

ガソリン

ガソリンが無いとエンジンが止まります。正確には、走行中エンジン・ブレーキがかかります。クラッチを切って、ギアをニュートラルにし、他の車両に注意しながら路肩に安全に停止することが、まず、第一です。

慣れてくると、走行しながらニュートラルにし、ガソリン・コックを予備に切り替えて、またエンジンを掛けることもできますが、初心者には薦められません。それ以前の問題として、常にガソリンの残量を走行距離数から按分しておくことが肝心です。ガソリンを満タンにしたときにトリップ・メーターをゼロにしておき、あと何キロ走れるかを常にチェックするくせをつけましょう。近頃のバイクには燃料計が付いているのもあるので、その心配の無い場合もありますけどね。

ツーリングでは山越えのときや、北海道を走るときは要注意です。途中でガソリン・スタンドがありませんから。

FXSTCの場合 左右のタンクに別々にハイオクタンを入れます。この時、左右の分量を注意しないとサイド・スタンドで停止させたとき、左側のタンク・キャップからあふれてしまいます。日本のガソリン・スタンドではユーザーが自分で給油できないので、いちいちこまかく指示をして入れてもらう事になります。めんどうなことこの上ありません。アルバイトの高校生が給油できて、どうしてベテランのライダーが自分で給油出来ないのでしょうか?特に若い女性の場合は手元がふらふらでタンクにガソリンをこぼしたりします。挙げ句の果てには熱くなったマフラーでやけどをした事も有りました。危険極まり有りません。


平成10年(1998年)からガソリン・スタンドの規制が緩和され、お客さんが自分でガソリンの給油をできるようにしてもよい事になりました。でもギリギリの価格で運営しているガソリン・スタンドには、それに対応した給油の機械を導入するだけの設備投資能力もなく、また、もしそうなったとしても、それほど価格には反映されないため、お客さんのメリットはなく、利用が伸びないだろうとの予測から、せっかくのこのシステムの導入もほとんど無いのが現在(1998年4月)の実態です。

ブレーキ操作

走り出したら、必ず止まらなければなりません。何のために走るのかと言えば、止まるためだとも言えます。二輪車の場合は止まる事がまず、一番難かしいことでしょう。路面の状態、バイクの特性、前後の過重バランス、スピードによって、前輪と後輪のブレーキのバランスを調整しないと転んでしまうこともあります。舗装道路では何の苦労もなく走ってる人でも、未舗装のジャリ道で転んでいる例を何度も見ています。僕の場合は、初めのうちは舗装道路なんて走った事も無かったのですから、何が幸いしているのか解りません。肝心なことは、前輪をロックさせないことです。後輪がロックしても前輪さえ生きていればコントロールできます。雨の舗装道路は危険です。特に白線の上はよく滑りますから、極力避けましょう。どうしても白線の上に乗り上げても、そこでブレーキを掛けるのは危険です。充分に注意してロックさせないようにしましょう。

万一ロックさせてしまった場合。まず、ブレーキをゆるめて車輪を回転させる事が必要です。路面とのグリップを取り戻さなければそのまま10mも20mも滑っていきます。グリップが回復したとおもったら、改めてじわっとブレーキを掛けるのです。僕はこの方法で何度も追突を免れています。

ディスク・ブレーキは雨の日は要注意。利きが悪くなるので、軽くブレーキを掛けながらブレーキ・パッドに注意して走りましょう。

ドラム・ブレーキの場合は中に水が入ると悲惨です。めったにありませんが、解体して乾かした事がありました。

エンジン・オイル

エンジンで大事な事はオイル・チェックです。ガソリンが栄養だとすると、オイルは血液のようなものです。汚れていては十分な性能が発揮できませんし、少ないと焼き付きの原因になり、とても危険です。また、多すぎると回転に鈍さが出ます。学生時代はお金が無かったので、いつも安いオイルばかり使っていてよくオーバーヒートを起こしてました。安全性にもつながるので、十分に気を使いましょう。

ドライ・サンプ式のハーレーに乗っていたとき、オイル・キャップを外された事がありました。そのまま走っていたら、どうも右の内ももが熱すぎるので、変だなと思って覗いてみたら、なんと、オイルが吹き出しているでは有りませんか?オイル・キャップは下の方に引っかかっているのを見つけて、すぐに取り付けたのですが、こんないたづらをする心無い人も居るのです。ズボンの左内股側がオイルで濡れて、気持ちの悪い一日を過ごしたのでした。

サイド・スタンド

最近のバイクではサイト・スタンドを畳まないとエンジンがかからない機構になっているのもあるので、出したまま走り出すことは減ってきていると思います。サイド・スタンドを出したままだと、左に曲がろうとして傾けたときに路面を擦って、それ以上傾けられなくなり、大曲になる危険性があります。何度かヒヤッとした経験がありますので、注意しましょう。

逆に、サイド・スタンドを出さないで、バイクから降りてしまう事もあります。そんなばかなと思うでしょうが、僕は過去2回これでバイクを倒してしまいました。DR250Sで一回、イントルーダー1400で一回です。笑って下さい。どちらの場合も、その時の状況で右側に降りなければならなかった、という事だけは共通しているのですが。

サイド・ミラー

サイド・ミラーで常に左右の後方を確認しながら走ることは、安全運転の基本中の基本です。また、サイド・ミラーに写らない死角がどの範囲であるかも常に頭に入れて置くことも必要です。

高校3年の時、岩手県一関市で突然サイレンの音でビックリ。サイド・ミラーにも何も写っていないし、何処で鳴っているんだろうと思った瞬間、W1の白バイがすっと、横に並んで来ました。完全に死角に入られていたのでした。スピード・オーバーでキップを切られた事よりも、サイド・ミラーの死角を利用したプロの技と、自分の技量の未熟さを思い知らされた悔しい思い出です。

特に死角に要注意なのは、車線変更をする場合です。死角には他の車が居るに違いないと思うくらいが、危機管理の極意です。通勤の渋滞の中、国道246の2列の車の列の間をすり抜けてゆくと、たまにサイド・ミラーを擦ってしまいます。普通の乗用車では位置関係で安心なのですが、このごろ増えたワゴン車というやつのサイド・ミラーの位置がちょうどバイクのものと一致するのです。

FXSTCで夜間帰宅途中、バンという大きな音がしました。何が起きたのか一瞬分からなかったのですが、ほどなく右のサイドミラーが真っ暗なのに気づきました。良く見ると、内側に曲がってしまい、いつもの位置に無かった為でした。クルマの間をすり抜ける際に、すごい勢いでぶつかったのでした。その時はすでに数十メートルも過ぎていたので、お詫びできませんでしたが、ごめんなさい。自宅に帰ってから見てみると、ミラーにひびが入ってました。それにしてもFXSTCの直進安定性は見事です。ハンドルが少しも振られませんでしたから。

このような事の無いように、左右の車両間隔は充分に空けて走りましょう。

タイヤ

空気圧は燃費にかなり響きます。もちろん適正でないと操縦不安定の原因にもなります。定期的にチェックしましょう。空気圧のチェック用のエア・ゲージは安物よりも良いものを買っておいた方が長持ちしますし、正確です。

摩耗限度を越えて使うのは、危険です。ツルツルタイヤで走っていると雨の時に滑りやすくなります。

パンクの経験は何度も有りますが、まず、早めに気が付く事が肝心ですね。そのまま走っていると、タイヤだけでなく、中のチューブや、ホイールそのものまで壊してしまい。大変な出費になってしまいます。

一番苦労したのは、イントルーダー1400に載っててパンクした時でした。信号で停止したら、どうもいつもより両足がべたっと着く。変だなと降りてみたら案の定パンクです。まだすこし空気が残っているからとそのままちょっと走って修理出来るところを捜しましたが、とうとうペシャンコになってしまいました。後輪の太さはたいへんなもので。ペシャンコになると、サイド・スタンドで停車させる事が出来ないくらいです。つまり、左側に傾かないで、右に傾くので、ずっとハンドルを持ってないと右に倒れてしまうのです。もちろん、このクラスのバイクにはメイン・スタンドというものはありません。

ようやくのことで、バイク屋さんまで押していって修理してもらいました。こんな太いタイヤは初めて見たと言ってました。

予測運転

ライダーを守るのは、自分自身以外にない。すなわち、どのように運転するか、どこをどう走るかが問題である。あたりまえのことであるが、安全なところを安全なように走るのである。

ところが、走るのは道路であり、走りかたはスピードの調整以外にない。安全なところを走りたいからと行って他の車両の通らないところを通るという訳にはいかないし、前に走らないと転んでしまうバイクにとってはスピードの調整以外にどのような走りかたがあるというのか、そんなのは有り得ない。

1997年12月23日記

ガソリンスタンドの規制緩和による改訂 1998年4月25日