北海道の巻(4)
1986年8月
第5日
明け方前にちょっと小雨がぱらついたが、夜明けまでには上がり、いつもの朝の準備も順調にこなして、まず、札幌に向けて出発した。
小樽を抜けるととたんに道が混み出してきた。反対車線はもっとひどい渋滞である。そうか、今日は日曜日なんだ。海水浴客がどっと繰り出してきているのだ。札幌に入ると路肩を走るのがやっとである。
あれれっ!?あれが時計台かな?意外に小さいので通り過ぎてしまった。どうも道がわからないので、なんとか大きな書店を捜して、昨日教えたもらった北海道のガイドブックを買った。札幌駅に行って現在地を確認する。
さすがに考えることはみな同じようで、バイクがずらり並んでいる。駅前にはかならず交番がある。ちょうど午なのでサッポロ・ラーメンを食べようと思い、交番でラーメン横丁までの道を訊いた。
ラーメン横丁にはさすがにずらりラーメン屋さんが並んでいる。どこに入ろうか悩んでもしょうがない、とにかく腹が減っている。適当な混み具合の所に入って食べた。しょうゆ味でおいしかった。あれ?サッポロ・ラーメンは味噌味だったっけ?
街の中は走っていてよく迷うのだが、札幌の道はわかりやすいのですいすい走れた。街をでる手前にバイク用品の店があったので、ピットイン。もう数年使っているゴーグルがボロボロで役に立たなくなった為買い換えた。これで視界がすっきり。これなら雨でも平気だ。なにしろ今までのは雨の時にはさっぱり見えなくなる代物だったか札幌市街を抜けると快適な走行になる。道路はまっすぐで単調だけど、景色が良い。スピードはかなり出ている。信号はほとんど無い。
今夜の宿は旭川に決めた。郊外にキャンプ場があるようだ。旭川に向かって行くと峠がある。ここは渋滞していた。ゆっくりと旭川に降りていくと、空気が変わった。ひんやりとしている。街の中で米屋さんをみつけて食料調達。
さて、キャンプ場を捜すのだが、なにしろ内地とは大違いで距離感が狂ってしまったのか、途中で道に迷ってしまった。街のつくり、通りの様子、家の形、皆違う。なんだか外国のような感じだ。
ようやく見つけたキャンプ場は森の中にあって、大規模な造成中の公園の一角だった。でかい、広い!ここは駐車場にバイクを停めて、そこから荷物を運ばなくてはならないタイプだった。このタイプの場合は、まず歩いてじっくりとテントサイトを捜すのだが、ここは広い芝生のような草地が一面に続いていて、特に捜すという苦労もいらない。一輪車を貸してもらったので楽に運搬が出来た。天国のようなキャンプ場だ。
僕のテントの側で学生たちがなにやら、テントの張り方でもめていたので、教えてあげた。この頃はファミリー・キャンプが増えて来て、大きな4WD車で大きな家型のファミリー・テントを持ってくることが多いのだが、まともにテントを張ることが出来るのは少なく、あせって支離滅裂になっている父親と、あきれてふてくされている子供たち、そしてあわやヒステリー寸前の母親という光景がよく見られる。それも家族のきずなというものかもしれないが・・・。
夜は冷えた。夕飯を食べているころから、ぐっと涼しくなったのだが、こんなに冷えるとは思わなかった。明け方にはぶるぶる震えていた。