はじめての自作

Windows3.1が発売されて、いよいよ僕も自作パソコンの道に入り込みました。海外でのIBM−PC/AT互換機の安さは、シドニーでのホームステイのときに実際に見て知っていました。また米国版のパソコン雑誌を丸善書店でよく買っていましたので、あまりの安さがうらやましかったものでした。

そのIBM−PC/AT互換機で日本語を表示できるようにしたのが、DOS/Vでした。そして今度はWindows3.1が日本語で走るようになったのです。こうなったら、是が非でも自分で作るしかありません。なにしろ、IBMから製品として出ていた最高級のものはCRT込みだと100万円もしましたから、それよりいいものを作ろうと思ったのです。

ということで、最初の自作マシンは以下のスペックでした。

ケース ATフルタワー 300w電源付き
マザーボード AIR−486UL AMI BIOS
CPU Intel 486 DX2−66MHz  
RAM 16MB 30pin 4MB x 4
IDE DC−680 VL−bus
FDD 3.5インチ2モード  
HDD IDE 340MB x 2  
Sound Pro Audio Spectrum 16 SCSI host
CD−ROM Toshiba XM−3401B SCSI− 2倍速
I/O 2S/1P ISA−bus
Video DIAMOND Viper VLB VL−bus
mouse NEOS MS-49L Serial port
modem Matsushita Serial port
CRT SII CM1760LR trinitron

これで約60万円でした。17インチのCRTだけでも秋葉原中探し回って一番安いもので18万円もしたのです。今思えば信じられないほど高価ですが、当時は安いと思ってました。

まず、CPUの486DX2−66、これは当時最高速のものです。

BIOSはAMIのものです。現在のものは何の苦労も無くほとんどすべて自動認識してくれますが、このころのものはHDDのヘッド数セクタ数などすべてマニュアルで設定しなければなりませんでした。非常に勉強になりました。

VL−busというのはPCIバスが出る前の高速ビデオの為の32ビットバスで、ローカルバスと呼ばれてました。このViperVLBは当時最高速のものでした。

ここのIDEは現在のE−IDEではありません。このDC−680というVLバス接続のIDEアダプターを介してFDDやHDDに接続していました。まだE−IDEではなかったのにもかかわらず、HDDを最大4台接続できるものでした。現在ではマザーボード上にE−IDEのコネクタが付いているのが普通ですね。まだ自作があたりまえではなかった時代で説明書は全部英語でした。特にこのIDEアダプタの説明書は実際のものと図が違ったりしてさっぱり解りませんでした。

まだCD−ROMドライヴはSCSI接続のものしかありません。Pro AudioSpectrum16というサウンド・アダプタ・ボード上のSCSIホスト・アダプタに接続して使いました。

2S/1Pというのは今では死語に近いですね。2シリアル・ポート、1パラレル・ポートのISAバス接続の拡張アダプタというものです。これも現在ではマザーボードについていますからね。

このように、マザーボードは初期のATとほどんど同じ構成で、キーボード・インターフェイス以外のものは何も付いていません。すべて拡張アダプタということになります。

さて、これを最初はPC−DOS6.3で、後に7.0とWindows3.1で動かしたわけです。実に快適でした。

ただし、快適なのはWindows3.1を使っているときでした。

55ノート時代から始めたマイクロソフト・フライトシミュレータにのめり込んで、どんどん拡張していきました。

フライト・シュミレータのバージョン4.0のときには画面もシンプルでよかったのですが、バージョン5.0さらに5.1になると、ViperVLBではSVGAモードが使えない為VGAモードでがまんしなければならないというはめになったのです。Windows3.1では最高速なのにDOSでは不十分というこのアダプタの設計上の問題点が出てきてしまったのでした。98,000円もしたのにですよ。

これでは満足できないので、GA−DVLIIに変更しました。ところが、それでも同じでマイクロソフト・フライトシミュレータのSVGAモードでは画面がゆがんでしまいます。

しばらくこれで使っていたのですが、最後のあがきでこんどは#9の9FX Vision330に差し替えてみました。このころにはすでにVLバスなんて死語になってしまい、PCIバスの時代になっていました。このVision330は展示品を無理を言って売ってもらったものです。ところが、またもやこれでもだめでした。原因はCRTの方がマイクロソフト・フライトシミュレータのSVGAモードで出力している同期周波数をサポートしていないということだったのです。VLバスのビデオ・アダプタが3枚残りました。

1997.9.19記