工作室 44 最も役に立たない機械2

3年前に作った『最も役に立たない機械』は、いつの間にか動かなくなっていました。電池が切れたのだろうとばかり思っていましたが、新品に入れ換えても動きません。どうやらどこかが故障しているということは分かったけど、そのままガラクタ箱の中で放置状態でした。

今年に入って、ちょうどいい大きさの木の箱を入手できたので、以下の反省点を踏まえて作り直してみました。

  1. 紙の箱では、力が加わったときに歪みが発生し正しく動作しない。
  2. 紙の箱では、そもそも正確な工作がしにくい。
  3. 中から出てくる腕の回転半径が大きすぎて、電池が消耗してくるとトルク不足に陥り、トグルスイッチを切り替えることが出来なくなる。
  4. 箱を開けるために余計な仕掛けを作ってしまったが、効果はそれほど上がらず無駄だった。

設計

これが今回入手した木の箱です。桐でできています。大きさは100x110x100と、ほぼ立方体です。これを元にして設計してみます。

前作とは設計方針をまったく変えて、すべて蓋からつり下げる方式にしました。箱が小さいので、それに合わせるとこの方式を採るしかありませんけどね。動作がまったく反対になるので、後でおかしな事になってしまいました。

回路に関しては、『最も役に立たない機械』と同じですから、そちらのページをご覧下さい。ただし今回の構造上、LEDの抵抗の取付をアノード側からカソード側に変更しています。

製作

部品代を浮かすために、前作を分解してみたところ、動かない原因がやっとわかりました。なんとモーターが焼き切れていたのでした。外見ではまったくわかりませんが、高負荷がかかった状態が続いて過電流が流れたようです。この形式のモーターはたくさん持っているので交換しました。

回転腕の軸もずっと短い物に変更します。

他の部品はばらして流用します。

  • ・単三電池2本、スナップ方式の電池ボックス
  • ・電池スナップ
  • ・6Pトグルスイッチ(2回路2接点ON−ONタイプ)
  • ・マイクロスイッチ
  • ・緑色LED
  • ・51Ω抵抗器

設計図を元にして精密に蓋を切り離します。この下の写真のように微妙にななめに切ってあります。これは蓋の開け締めにひっかかりが出ないようにする工夫です。

回転する腕と、その補強材、ギアーボックスの台座、マイクロスイッチの台座を切り出します。回転する腕は厚さ2.6mmのMDF板で作りました。これでは薄くて蓋の上のトグルスイッチにうまく当たりませんから厚みを持たせる必要があります。端材で作ったので補強材はおかしな形になってしまいました。

各部品を固定します。

蓋の裏側の配線をします。LEDを光らせるアイデアは前作でも成功したので、そのまま引き継ぐことにしました。

モーターも接続します。

ギアボックスも固定します。

回転腕を組み立てます。なんだかうまく行きそうな気がしてきたのですが・・・

回転腕を取り付けて、電池を入れてテストラン!

ええっ!!

大失敗・・・。よく考えてみたら、前作とは動きが逆になるので、モーターの回転方向を逆にしないといけないのでした。そこで、モーターのリード線を入れ換えたら正常動作になりました。写真で見ると、緑と白のリード線が上の写真の状態と入れ替わっているのがよくわかると思います。

電池ボックスをそのまま箱の底にごろりと寝転がせる訳にはいきませんから、ちゃんとした収納場所を作ってやります。

はい。ここです。

箱の底にはゴム足を付けようとしたのですが、前作のものだと高すぎるので、他に無いかなと探したのですが、見つかりません。仕方なく余っていたスポンジ足を貼り付けました。安定はしますが、ゴムとは違ってすべります。

機械部分を取り付けた蓋を接着します。これでやっと形がみえてきました。

開く蓋の方には動きを滑らかにする為にプラ板を斜めに取り付ける事を思いつきました。

こんな風に接着します。

開く蓋を蝶番で取り付けます。

これで完成です。

試運転

電池がかなり消耗しているのですが、回転半径を小さくしてトルクを稼いだ結果、ちゃんとスイッチを切り替えています。箱の開き方も滑らかです。やはり失敗は成功の元ですね。

最も簡単に作る方法

こんなに簡単なものでも、部品を集めて、工具をそろえて材料を加工して組み立てるというのは案外面倒なものです。そんな方のためにキットが販売されています。米国のMaker ShedでのThe Ultimate Useless Machine Kit販売ページで、$34.99です。

The Ultimate Useless Machine Kit

そのキットの詳しい組み立て方の動画を見つけました。

2014年5月4日 記

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