工作室 83 ロープクランプ
前回のはがき写真額縁専用接着治具とかその前に作った暦用額縁接着治具では薄い板枠の平面的な接着は出来るのですが、枠板を立てた状態で接着する治具は持っていませんでした。これまでは必要性が無かったのですが、YouTubeではよくこのような場面を目にしていました。
ベルトを使って四隅をしっかりと締め付けるというもので、strap clampとかbelt clampという物のようです。これはかなり便利なようですが買うには高そうです。なんとか自作できないものかとしばらく前から考えていましたが、次回作ろうとしているものではどうしてもこれが必要であるという事態に至り、ようやく腰を上げて設計にとりかかりました。。
ロープクランプの設計と製作(試作版)
ベルトそのものが無いので、それに変わる物は無いかなと見回してみたら、以前いくつかの木製パズルに登場して余っているロープが目に入りました。長さも充分あるのでこれを活用してみることにしました。ベルトクランプならぬロープクランプです。
さっそくSketchUpで設計です。材料は12mm厚と9mm厚の板です。最初に描いた設計図から、ぼんやりとしていたために全部50mm角に切り出してしまいまして、それに合わせて書き直したのがこれです。間に挟まっている9mm厚の方が5mmほど飛び出していますが、これは切り出しを間違えた結果なんです(-。-;)
という訳でこれが50mm角に切り出した板です。
間に挟まる9mm厚の方はさらにこのように加工します。
両側を挟む12mm厚の方も同様です。
組み立てます。と言っても接着するだけです。
やすりがけして内側を正確に直角にします。
四組できました。
テストしてみます。片側をもやい結び、もう片方は自在結びにして、ぎゅっと引っ張ります。ある程度はきつく締める事はできますが、どうにも使い勝手が悪いし、見た目も貧相です。まあ売り物では無いので、これでも充分使えることは使えるのですけどね。
ひっぱり機構の設計
第一作:とりあえず書いてみたけど、これでは張力に耐えきれずにぽきんと折れそうです。
第二作:なんとなくいい感じですが、これも弱い感じがします。
第三作:方針を変えて、片側だけを引っ張るようにしてみました。しかし、その為にボルトを2本も使うというのは冗長性が高すぎます。
第四作:やはりボルトは一本にした方が操作性がいいと思います。この方向性で進んでみます。
第五作:おおっ、これならうまく行きそうです。部品点数は多いのですが、工作はそれほど難しくはないでしょう。
ということで、これが最終設計となりました。
左の画像をクリックするとダウンロードできます。SketchUp Viewerで任意の向きに回転させたり拡大縮小したりして観ることができます。
ひっぱり機構の製作
材料を切り出しました。
ボルトとナットです。
いつものように板の貼り合わせは自作の平行クランプを使います。
接着剤が乾いたら、やすりがけをして直角を整えます。
ロープが通って角度を変える部分はかなり力がかかるので、釘を打ちます。
両側の孔をロープが通ります。真ん中はボルトが当たる部分です。
そこにはかなりの力がかかるので、金属で補強します。と言っても画鋲を打ち込んでいるだけです。
ナットを埋め込みます。
稼働部にはボルトを通しておきます。
ロープを通しておいて、稼働部の枠を貼ります。これは稼働部が横にずれないように、まっすぐロープを引っ張るようにする為です。
ロープの片側は最初から結んでおきます。これで組み立て完了です。
試用テスト
手近にあるものでテストしてみました。
ボルトを回すとロープが引っ張られてきつく四隅を締め付けます。想定通りの働きをしているようです。
ということで、これで完成です。これからどんどん活用していくつもりです。
2015年5月2日 記