工作室 45 ジュールシーフ
電池を使い切る
身の回りを見回すと、乾電池をたくさん使っていることに気付くと思います。最近は充電式の乾電池を使っている事も多いのですが、充電式乾電池だと電圧が1.2Vしか無いので、それでは動作しない機器もあるのです。乾電池はある一定期間使っていると消耗して電圧が低下しますから、機器が正常に動かなくなります。そうすると交換するのですが、使い終わった乾電池は廃棄するしかありません。
しかし、電圧が低下したとは言っても、実はまだ少し電力は残っているのです。この残っているエネルギー(ジュール)をぎりぎりまで使い切ってしまおうというのが、Joule Thiefという、LEDを発光させるものです。日本語だとジュール泥棒とかエネルギー泥棒という意味になり、なんだか変ですね。
失敗作
実は以前に一度製作に挑戦して失敗した事がありました。その時は上の写真のようにフェライト・コアに導線を巻いてコイルを作ったのですが、どうしてもコアの大きさや導線の太さ、巻き数によってインダクタンスが違ってしまいますから、完全に失敗でした。
YouTubeで見つけたマイクロインダクターを使った方法
YouTubeで「ジュールシーフをコンパクト化」という動画を見つけました。
コイルを巻かなくてもいい方法です。なるほど、これは簡単そうです。
製作準備
YouTubeの動画から回路図を描いてみました。さらに、トランジスタ2SC1815の足の配置図も必要です。
これまで回路図はずっと手描きでしたが、今回やっとこんな綺麗なものを描くことができました。これは水魚堂さんのフリーウェア『回路図エディタBSch3V』という物をつかったのです。
これを元にしてソルダレス・ブレッド・ボードで実験してみました。
使った乾電池は他の機器で使えなくなって廃棄しようとしていたものです。
うん、これは行けそうです。
製作
改めてパーツを並べてみます。上から、
- 1.超高輝度5mm電球色LED
- 2.トランジスタ2SC1815GR
- 3.マイクロインダクター100μH(2個)
- 4.抵抗器1kΩ
- 5.積層セラミックコンデンサー0.1μF
これをユニバーサル基板に組み立てます。
基板の余分な部分を切り取って完成です。
リード線は、以下のように繋ぎます。
- 赤:乾電池のプラスへ
- 緑:LEDのアノードへ
- 白:LEDのカソードへ
- 黒:乾電池のマイナスへ
なにか適当なケースは無いかなと探してみたら、小さな木の箱がありました。蓋が引き戸式です。これならば電池交換も簡単にできそうです。
LEDは外に出さないと意味がありませんから、あれこれデザインを考えた結果。提灯式につり下げることにしました。
提灯をつり下がるのは外径が6.0mm内径4.2mmのプラスティックの管です。これを曲げるために中に太さが3mmのアルミの針金を通すことにしました。
こんな風にうまい具合にまがりました。たまには想定通りにうまく出来ることもあります。
その中にLEDに取り付けたリード線を通します。提灯はピンポン玉です。
ピンポン球の中にLEDを差し込むと提灯ができました。
基板と電池ボックスを台座の木片に取り付けます。
スイッチは何を使おうかと毎回悩みます。今回は壊れたマウスから取り外したマイクロスイッチを使って、蓋を閉めたときに点灯するという仕掛けを作ろうとしたのですが、マイクロスイッチのボタンの復元力が案外大きくて、蓋を閉めても簡単に跳ね返されてしまうのでした。
そこで凝った仕掛けはあきらめて、オーソドックスなトグルスイッチを使う事にしました。これも使い古しの物です。取り付ける部分の板厚が6.7mmもあるので、左側のワッシャーとナットは使わず、1個のナットだけで取り付けます。
電池ボックスとスイッチを基板に配線します。
これらを箱の中に取り付けます。
箱の底板が薄いので直接木ねじを使う事ができません。その為にちょっと厚めの板を台座として使い、木工用ボンドで接着しました。
最後に、提灯を差し込んで配線して完了です。
完成しました。おもしろいデザインでしょう?
試運転
実際は、なかなか雰囲気があって癒される色合いです。これを使って乾電池を完全に使い切ってから廃棄するようにします。
おまけ:見返りドラゴン
以前作って失敗した時の画像を探していたら、かなり古い動画を見つけました。こちらが動いてもドラゴンがじっとこっちを見ています。これはとても気に入っているのでムービングGIFにしてみました。
このペーパークラフトは、こちらからダウンロードできますよ。ぜひ作ってみて下さい。
2014年5月18日 記