工作室 85 ACフットスイッチ
孔あけ加工をするときに、手持ちの電気ドリルの他に卓上ボール盤を使っています。これを買ったのは大失敗でした。いわゆる安物なんです。まず、ちょっと太いドリルビットを使うとトルクが足りなくて途中で止まってしまうという非力さ。まあこれは使い方を工夫してなんとか使ってはいます。一番問題なのは、軸がぶれること。これはなんともなりません。せっかく材料に中心点をマークしても、モーターを回すとドリルの先端がぶれてしまいとんでもない所に孔が空いてしまうのです。これを防ぐ為に、ハンドルを下げてドリルの先端を板に固定した状態でスイッチを入れるのですが、左手は材料を押さえていますから、右手でハンドル操作とスイッチ操作をすることになります。腕は二本しかないので実に難しいアクロバット的離れ業となります。
そういえば、バイクを運転するときには、右手でスロットルと前ブレーキ、左手でクラッチ、右足で後ブレーキ、そして左足でギアチェンジをします。要するに手が足りなければ足を使えばいいのです。
そこで、足で踏むスイッチを探してみたら、確かにそういう商品はたくさんあるようです。構造的には難しいものではないようなので、自作してみようと思い立ち、材料を探してみました。
そうして見つかったのがこれです。なんともどぎつい色合い、緑の半透明延長コードです。いつ頃買った物なのかまったく記憶にありません。ビニールの袋に入ったまま眠っていました。こういった半透明の物が流行った時期がありましたね。少なくとも10年以上前の物に違いありません。
プッシュスイッチの方は何度も使っているおなじみの物で、125V,3Aという規格です。卓上ボール盤は100Wですから、電流は1Aしか流れませんので、これで間に合います。
設計
いつものようにSketchUpで設計してみました。
左の画像をクリックするとダウンロードできます。SketchUp Viewerで任意の向きに回転させたり拡大縮小したりして観ることができます。
部品点数は少ないのですが、形が複雑なので各パーツにバラした図も書いてみました。
こんなに準備をしても、実際に作る段階ではとんでもないミスをするものなんです・・・、後でわかります。
回路図はとても簡単です。というか、回路にさえなっていませんね。
製作
フットスイッチというだけあって、床に置いて足で踏む事を前提にしているので、それなりの強度が無くてはいけません。そこで前回作ったFinger Joint Jigを使って材料の切り出しをしました。
材料が揃いました。
ひとつ、おかしな物が混じっていますね。
拡大してみると、こうなっています。残すべきところを間違って切り込んでしまいました。途中で気がついたので中途半端に切り欠きができてしまったのです。それをそのままにして、反対側を加工した結果がこれです。
まあ、このままでも問題は無いのですが、一応かっこよく完成写真を載せたいので、その孔を塞ぐことにしました。
というわけで、こうなりました。どうですか?ほとんど目立ちませんね。
ほんのわずかですが、動きがあるので、回転にかかわる角を丸めておきました。
箱の枠を組み立てます。見てわかるように、ほんのわずかだけはみ出していますが、これは後で削り取ります。
プッシュスイッチを合板に取り付けてスイッチ・ユニットを作ります。
このスイッチ・ユニットを斜めに取り付ける板を側板に貼り付けます。
こうしてスイッチ・ユニットが組み込まれました。
延長コードを二つに切断し、孔から差し込んで、適度な位置で結びます。これで外からひっぱっても大丈夫です。
はんだ付けして結線します。熱収縮チューブでカバーして安全性を確保しておきます。
上板というか、踏み板の仮組をしてみたら、どうもこの部分がじゃまになるようですから、カットすることにしました。
踏み板は釘を回転軸として取り付けました。
その部分を拡大するとよくわかると思います。
底板はメンテナンス性を考慮して木ねじで固定しました。
床の上ですべらないようにゴム足を取り付けると組み立て完了です。
完成・テストラン
完成しました。一応、テスターでオン・オフのテストをしましたが、やはり実際にボール盤を動かしてみないといけません。
適当な板に4mmの孔を空けてみることにしました。
1.左手で材料を固定します。
2.右手でハンドルを下げていき、ドリルビット先端が材料上の中心マークに重なる位置で止めます。
3.その状態で右足でフットスイッチを踏みます。
4.するとドリルビットが回転します。
5.そのまま右手のハンドルをゆっくりと押し下げていきます。
6.ハンドルが下端に達したら、ハンドルをゆっくりともどします。
7.ドリルビットが材料から完全に抜け出たら、右足のフットスイッチを踏みます。
8.するとボール盤の電源が切れ、回転が止まります。
2015年5月16日 記