工作室 207 蝶番の無い箱(改良)
蓋が閉じなくなった
2018年2月に作った、この蝶番の無い箱ですが、軸の竹籤が湿気の水分で膨張し動きが悪くなり、とうとうきちんと綴じなくなってしまいました。作ってからずっと使わずにしまっておいたせいもあると思います。
このように、隙間が空いています。これ以上閉まりません。
設計
そこで、蓋ごと作り直すことにしました。ついでに少しデザインも変えます。
いつものようにSketchUpで設計しました。左の画像をクリックするとダウンロードできます。
蓋をさらに開けやすくするために、指がひっかかりやすいようにでっぱりを作ります。このように10mmはみだした円弧状のでっぱりです。
製作
蓋を取り外しました。
元は竹籤を蓋の方に固定して、側板の3mmの穴の中で回転するようにしていましたが。これが行けなかったのです。
今回は、竹籤は側板の方に固定し、蓋の穴は3mmから4mmに拡張して竹籤が水分でふくらんでも余裕を持って回転できるようにします。
円弧を描くのは通常はコンパスを使いますが、このような場合は使えませんから、こんな手法を用います。薄くて細い板をこのように曲げて固定し、鉛筆でなぞるという方法です。
こんな風に描けました。
これを糸鋸で切り取り、ヤスリがけをしてきれいにしました。
回転する部分はカンナとヤスリで丸みを付けました。
塗装を二回繰り返しました。
穴の内側も塗装してあります。
仮組をして動作を確認します。
想定通りのなめらかな動きですが、以前よりも軽くなった分だけ綴じたときの音が大きく響くのが気になりました。
そこで、フェルトを貼り付けることにしましたが、そのまま貼り付けると剥がれやすいので、このように幅10mm、深さ1mmの溝を掘り、そこにフェルトを埋め込む事にしました。
実は、このフェルトを10mm幅にカットするという作業が案外難しくて5回も繰り返してやっとできました。カットしている間に定規がすべってしまい、幅が一定にならないのです。
貼り付けて、余分な部分をカットしました。
これを取り付けます。接着剤は側板にだけ使っています。
余分な竹籤軸をカットして、その断面を塗装しました。
完成
これで完成です。見た目もかなり変わりました。
蓋をあけると、こんな感じです。
蓋全面のでっぱりがあるので、とても開けやすくなりました。動きもなめらかです。
2019年10月26日 記